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書楼弔堂 探書拾参 史乗 [京極夏彦]

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《「乗」は記録の意》歴史上の事実の記録。歴史書。史録。
小説すばる2月号掲載
第三季開幕

10日前に八甲山雪中行軍遭難事件が起きた
明治35年の冬。
2年前より始めた坂道の途中にある甘酒屋を営んでいる老人、
弥蔵(やぞう)が店じまいの支度をしてると
思想家で有名な徳富蘇峰から声をかけられた。
この坂道の先へに続く書楼弔堂への道を迷っているのだと言う。

蘇峰が語る不思議な本屋に興味を持った弥蔵が同行し
たどり着いた弔堂の店先には、白衣に浅葱の袴を着た服装が違っていたなら
性別がはっきりしない小柄で綺麗な顔をした青年が二人を迎え
弔堂主人元へと案内した。

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書楼弔堂 炎昼 [京極夏彦]

書楼弔堂 第二シーズン
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第7話から12話までを収録

やはり単行本化での新規書きおろしはありませんでしたが、
表紙カバーは明治時代に若松賤子が「小公子」と日本語訳した時の
装画を元にデザインされてます。
今作での主人公である天馬塔子が弔堂店主に薦められた中から
選んび鮮烈な初めての読書体験をしたのと同じ装画をこのような形で
目にすることができるのはなんとも嬉しい装丁の仕掛けでした。
できれば連載時に掲載されていた煙楽さんの挿絵も
収録してほしかった所(´・ω・` )残念…文庫で収録してくれないかしら


今回の炎昼ではとても凝った3段階の構成をしています。

後の世で各分野で劇的な変化を起こす実在の人物達を
史実のエピソードを元に生き生きとした人物造型し一話完結で
ゲストのお客として現れ、後の大変革の兆しに繋がったかもしれない本を
弔堂で見つけるのを主軸に

その脇では、薩摩武士の祖父との確執から塔子が新しい明治の時代を
生きる女性になる現代人にとっては、ささやかのようでも
当時の人にとっては大胆な変化へと繋がる塔子のお話。

さらに帝大法学部在籍で叙情的な作風の詩人である松岡國男が
後の民俗学の祖“柳田國男”へと章を読み進める内に
徐々に変わっていく様が克明に描写されるのが進行していて、
炎昼を読み終えたときに柳田國男が明確に浮かび上がる
仕掛けが組み込まれてて実に読み応えがありました。

弔堂店主から教え与えられるのはなく、
各々が答えをもともと内包しているけど、ソレに気づけてないのを
弔堂に指摘されるだけというのが禅の教えのようなやり取りも
ユニークですよねぇ、弔堂シリーズは。



本作での別作品とのリンクは姑獲鳥の夏で京極堂こと中禅寺秋彦が
骨壷から出して仏舎利(骨)だと干菓子を使って関口に騙った
甘味処「甘月庵」が登場したぐらいですかね、わりと老舗だった甘月庵。

あと、気になるのがまだ正体について情報が少ない弔堂店主と
丁稚の撓(しほる)。
私は撓が鉄鼠の檻で京極堂に古本を指南した洋書が専門で
業者としてより蒐集家として一流だという横須賀の倫敦堂主人の
山内銃児ではないのかと妄想しているのですが…。
書楼弔堂の時代は明治30年前後(1897)なので
鉄鼠の昭和28年1月(1953)では弔堂の時に撓が10歳ぐらいならば
66歳ほどでギリギリ…山内はそんなに老人だとは
描写されてなかったけれどやっぱり別人かなぁ…


2作目が炎昼ということで次回作は夕方か夜のお話なのでしょうか。
続きが楽しみです。


ネタバレ全開の著者ロングインタビューが
書楼弔堂シリーズ公式サイトにて公開中
シリーズ第三弾は新時代になじめない、おじいさんが主役との事。
京極さん大得意のジジイ小説(;゚∀゚)=3これは期待高まる


書楼弔堂 探書拾弐 常世 [京極夏彦]

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小説すばる2016年6月号に掲載 第12話

祖父が床に伏すようになって迎えたこれまでとは違った静かな正月
そんな時、塔子の元に友人の美音子から結婚したとの手紙が届く。
祝いの品を持って美音子の実家の菅沼医院を訪ね、
その帰り道に偶然、梅の木の下で弔堂店主としほるに会う。
氷川のご老体こと勝海舟が亡くなったのだという。

それから桜が咲き始めた頃に祖父は亡くなり
以来ずっと本を遠ざけてしまう塔子。
法事を終えて一年ぶりに梅の花を見た事で弔堂を思い出し
無性に本が読みたくなり書楼弔堂へ向かいだすと
店先には帝大法学部の松岡國男がいた。
彼も最近近しい人を亡くしたのだと語る…。


 。

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書楼弔堂 探書拾壱 無常 [京極夏彦]

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小説すばる2016年2月号に掲載 第11話

祖父が床に臥しだして塔子が看病するようになり3ヶ月、
母から祖父が存命の内にお家存続が孫の努め、婿を娶れと言われ
反発して塔子は家を飛び出す。

そんな道すがら体調の悪そうに腰掛けている顔半分を髭で覆った老紳士と会う
彼は50才で道に迷って一息ついているのだという。
武士の生まれで学者を志したが軍人となり、その後農家となったが
また復軍して…と流転した彼の人生を語る
そして自らを泣き虫の“なきと”だと自嘲するように名乗った。

“なきと”氏の体調を案じひとまず弔堂で休息をとるようにと案内した所
彼と弔堂主人の龍典とは実は30年来の知人だったと塔子は知る。
偶然再会した弔堂主人は“なきと”氏の事を敬々しく中将閣下と呼んだ。



今回の書楼弔堂のお客は、乃木希典将軍。
複雑な生涯、髭、幼名の無人(なきと)由来の泣き虫の“なきと”のアダ名で
序盤でも察しがつきました。
あと情景描写でも「坂の上」、「雲」とさらりと司馬遼太郎の「坂の上の雲」を想起する
ヒントを入れててニヤリ( ̄ー ̄)

弔堂主人が乃木に手渡したのは三宅観瀾の「中興鑑言」。
後年、乃木が養育係として親王達に熟読を進めた一冊でした。


戦争下手、愚将とも評される乃木の行動の根幹を
それまでの全滅覚悟特攻を美徳とする武士の常識と、
外交手段としても重視されるようになりだした近代戦争化との間を迷い揺れて
情けや慈しみを重きをおく優しい性分故に兵を
無駄に殺せなかったからだと解釈したのが面白い試みでした。
水師営の会見での敬意ある対応や戦死者の遺族訪問したり
戦傷病者への対応とか逸話が多い乃木を不足なく人物像を表現しつつ
物語としても29ページの短編でまとめられるのか、と感嘆ものの構成です。

あと今回はもう一人の主人公、松岡國男は登場しませんでした
書楼弔堂二季もそろそろ結末だと思っていたのですが
こちらはどう締めるのだろう。続きが楽しみです。



書楼弔堂 探書拾 変節 [京極夏彦]

小説すばる2015年10月号に掲載 第10話
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見合い話にうるさい家族からの逃げてきた塔子は隣家の時計草に
作り物めいた気味悪さを感じて眺めていた所を
テニスラケットを手にした高等女学校に通う少女、
ハルに声をかけられる。

まだ12、13才程のハルは学問は好きなのだけれども
貞淑な良妻賢母であれ、という女性観を学ばされる修身学に
嫌気をさし抗議行動として授業を抜け出してきたのだという。

すっかり気が合った塔子とハルが弔堂へ立ち寄ると
店内には弔堂亭主とうず高く積まれる程の大量に地方新聞注文した
帝大法学部の松岡國男の姿が。
二人にハルは平塚明(ひらつか はる)と名乗った。

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書楼弔堂 探書玖 隠秘 [京極夏彦]

隠秘と書いてオカルトと読む。
小説すばる2015年6月号に掲載 第9話
第二季の三話目
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明治31年の1月中旬
前回、書楼弔堂から若松賤子訳「小公子」を勧められ家人に隠れて
少しずつ3ヶ月かけて読了した塔子。
初めての小説読書体験の興奮を語ろうと女医を目指してる友人の菅沼美音子と
干菓子が評判の甘味処 甘月庵で会ったが
美音子は心理学と催眠術について意見の相違で親娘喧嘩中なのだという。

本の話をする事もなく弔堂に足を向けた塔子は次に読む本の取り寄せを依頼すると
明後日には詩人の松岡が
注文した本も揃うのでその時一緒にとなった。
約束の日、松岡は帝京大学の先輩を連れて弔堂に現れ松岡は塔子に
彼は哲学を学んでいる福來友吉だと紹介したのだった。

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書楼弔堂 探書捌 普遍 [京極夏彦]

小説すばる2015年2月号に掲載 第8話
第二季の二話目
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はやり唄を鼻歌を口ずさんだ事から女性の有り様に対して
祖父の旧時代の価値観で叱られた事が納得ができないでいた塔子は
反抗心と気晴らしから出かけた道すがらに
前回知り合った若手詩人の松岡(柳田國男)と会う。
彼は書楼弔堂に向かう途中だという
たどり着いた弔堂の店先には演歌師の添田平吉が先客でいた。



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書楼弔堂 探書漆 事件 [京極夏彦]

小説すばる2014年9月号に掲載 第7話
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第二季、開幕。
強い日差しの夏の有る日。
木芙蓉に違和感を感じてしまい木芙蓉はまるでお化けのようだと
どういう訳か思ってしまう女学生の塔子(とうこ)。
ある悩みから気を紛らわせようとふらふら道を歩いていると
見知らぬ二人組の青年に声をかけられる。

四角い顔丸眼鏡をかけ尾崎紅葉の弟子で禄さんと呼ばれている売れない詩人の田山
(この時点で正体バレバレ)と
細面の精悍な顔つきをしていて森鴎外の門人であり歌人 松浦辰雄にも学び、
詩集「抒情詩」を田山達と刊行し、秋には帝大生になるという
詩人の松岡國男(妖怪好きには即バレ)
この二人は知人から聞いたあらゆる書物が購入できる本屋、
書楼弔堂を探してるのだと云う…


始まりました第二シーズン
弔堂亭主が薦める本によって明治の文学・小説の多大な変化の瞬間の萌芽を
その時代の当事者のように体験させてくれる「まんが道」や
「アオイホノオ」のようなユニークなこのシリーズ、
前作の「書楼弔堂 破暁」から時代が進んで明治30年が舞台になりました。

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書楼弔堂 破暁 [京極夏彦]

小説すばるで連載されていた京極夏彦さんの新シリーズ「書楼弔堂」が
ハードカバーで書籍化。題名は「書楼弔堂 破暁」
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著者インタビューなどもある集英社特設サイト

表紙は1話に登場する月岡芳年による「幽霊之図うぶめ」!
一見、はかなげな女性の後ろ姿の絵で派手さは無いのだけれども
ちらりと見える赤ん坊の足と腰巻きの赤色に目をやると
子抱かせ妖怪「うぶめ」だとわかる作品。
見えない顔への恐ろしさに薄ら寒さを感じさせながらも
どこか切なげな身体の表現が秀逸で月岡芳年の作品中でも好きな絵だったのでとても嬉しい


収録されているのは小説すばる掲載分の第6話まで。
通例だった単行本化での書き下ろしはありませんでした
(´・ω・`)期待してたカバー裏のオマケも無し…
しかし、連載時と違う部分がありまして
作中で登場人物達がそれぞれ書楼弔堂の店主から薦められ手に取る
その後の人生の歩みを決定づけたのかもしれない重要な書物の図版が
カラーで挿入されているのです。
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巻末に資料掲載というのは目にもしますけど
まさに白い紙と黒い文字列の物語に没入している途中で突如現れる色彩の仕掛け!
作中人物達が感じた衝撃体験を
同時に読者にも襲わせる演出が実に面白いのです
装幀担当があの菊地信義さんだと知って納得(・∀・)





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書楼弔堂 探書陸 未完 [京極夏彦]

小説すばる2013年8月号に掲載 第六話
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第一季、閉幕。
(ハードカバー版「書楼弔堂 破暁」についての記事はこちら)

前回、巌谷小波から出版社の仕事を誘われた高遠は
仕事を受けるのか悩んでいた所へ書楼弔堂の丁稚 しほるが訪れる。
高遠がひょんなことから預かっている
幽霊を見て病んだ娼妓が飼っていたという猫の引き取り手が見つかったとの事。
また、その引き取り手は弔堂に大量に本を売るというので
猫を渡すついでに高遠には積み下ろしの手伝いをして欲しいのだという。
その人物は中野にある武蔵晴明社の宮司 中禅寺 輔(ちゅうぜんじ たすく)

…書楼弔堂を読んでいたらいつのまにか
京極堂の祖先にまつわる話になっていたε-(゜∀゜)うへえ



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